筋の発生,分化に関する研究 : II. 錯綜筋(M. complexus)の萎縮退化に伴う酵素組織化学的変化,特に酸化酵素(Succinic dehydrogenase)と解糖酵素(phosphorylase)活性についての検討
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概要
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前報に続いて孵化直後の錯綜筋の混合筋相に反映される各筋線維の1次的,代謝的分化と,その後の筋萎縮退化に伴う各筋線維の2次的,生理的分化とを検討するため,孵卵20日,孵化後2日,5日,14日の錯綜筋を用い,筋の萎縮退化に伴う各筋線維の酵素組織化学的変化を酸化酵素(Succinic dehydrogenase),解糖酵素(Phosphorylase)活性に着目して調べた。その結果次の諸点が明らかとなった.1) 孵卵20日の錯綜筋では筋束の外周辺に位置する白色筋線維(Type I筋線維)はPhosphorylase活性が高く,肥大している.中間調筋線維(Type III筋線維)も肥大しており白色筋線維への移行を示す.2) 孵化後2日の錯綜筋は混合筋で,Succinic-DHG活性とPhosphorylase活性の間に相反関係を認める.3) 孵化後5日の錯綜筋では萎縮退化の過程で赤色筋線維(Type II筋線維)が肥大し,白色筋線維(Type I筋線維)は萎縮する.中間調筋線維も大型で萎縮を認めない.また白色筋線維のミトコンドリア依存性Succinic-DHG活性は筋線維の中心部から周辺部へ向って消失する.4) 孵化後14日の錯綜筋では赤色筋線維(Type II筋線維)の出現率が増し,中間調筋線維は赤色筋線維へ移行する.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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- 筋の発生,分化に関する研究 : II. 錯綜筋(M. complexus)の萎縮退化に伴う酵素組織化学的変化,特に酸化酵素(Succinic dehydrogenase)と解糖酵素(phosphorylase)活性についての検討