精巣上体内成熟過程における豚精子抗原性の変化 : 1.二重拡散法による分析
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概要
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性成熟後のランドレース種豚20例から屠殺直後に36個の精巣上体を分離し,精巣上体頭,体,尾および精管から精子ならびに管腔液を採取した.さらに,これらとは別のラソドレース種豚から新鮮射出精子および精漿を得た.精巣上体頭,体,尾,精管および射出精子について5種類の抗家兎血清をそれぞれ作成した後,精巣上体移行に伴う精子抗原の変化と精巣上体液,精管液および精漿抗原との関連性を二重拡散法を用い,検定比較した.精子各抗血清に対し,精子抗原では主要沈降線3本が検出された.精巣上体頭,体,尾,精管および射出精子に共通する特異沈降線1本は同一性を示し,精巣もしくは精巣上体頭起源の被覆抗原と推定された.精巣上体頭精子検出の特異沈降線1本は精巣上体尾,精管および射出精子で消失し,精巣上体体以降における精子の機能的成熟に関与することがうかがわれた.一方,精子各抗血清に対し,精巣上体液,精管液および精漿抗原では主要沈降線6本が検出された.これらのうち特異沈降線2本は精巣上体液および精管液では観察されず,抗射出精子血清のみに検出される精漿抗原が存在した.また精巣上体,精管および射出精子各抗原の検出沈降線は交叉せず,融合または一部交叉した.これに対し,精巣上体液および精漿抗原の検出沈降線は融合せず,交叉または一部交叉し,射出精子には,精管または付属生殖線由来の被覆抗原の存在することが確認された.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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