牛白血球の精子貪食作用に関する観察
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概要
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授精後の牛生殖道における白血球の精子貪食作用を知るため,一牧場から無作為に抽出したホルスタイン種雌牛C1群10例およびC2群3例の末梢血から,塩化アンモニウム液を用いた溶血法で白血球を分離収集した.分離白血球はC1群では種雄牛5例の新鮮精子,またC2群では種雄牛12例の凍結融解精子とともに37°C小試験管内で30分,60分,120分および240分間培養した後,白血球の精子貪食率を位相差顕微鏡下で経時的に観察した.白血球および精子の混合比率は新鮮精子,凍結融解精子両者とも1:1および1:2であった.白血球の精子貪食率は比較的低くC1,C2群全体を通じ2.5〜19.5%の範囲を示したが,C1群の精子貪食率は白血球に対し2倍数の精子混合比率,培養120分以降有意に高くなり,精子数の多いとき活発化した.またC1群の精子貪食率は不受胎および授精回数の多い個体で高い値が得られ(P<0,05〜0.01),受胎の成否に白血球の精子貪食作用の関与する可能性が示唆された.C2群の精子貪食率は種雄牛個体の違いにより差が認められ,精子貪食率と精子運動率との間に負の直線回帰があり(P<0.05),白血球の精子貪食作用は精液性状の良否によっても影響されると考えられた.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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