黒毛和種の現場後代検定成績に対する反復BLUP法の適用
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概要
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全国規模での黒毛和種の種雄牛評価を実施する際の問題点について検討するために, 各地の枝肉市場から得られた現場後代検定成績に反復BLUP法を適用した.データは全国14か所の枝肉市場から収集されたものの中で1種雄牛あたり40頭以上の子の記録のある, 59種雄牛から生まれた7, 374頭の去勢肥育牛の記録である.分析対象形質は日齢体重, 日齢枝肉量, 枝肉歩留, 脂肪交雑, 枝肉等級, 枝肉単価で, しモデルには種雄牛産地内種雄牛の変量効果と, 種雄牛産地および子牛出生年次・肥育県・枝肉市場・屠殺日齢区分の組合わせの母数効果を含めた.反復BLUP法で最尤推定した分散成分から換算した遺伝率は枝肉歩留と脂肪交雑でやや低く推定された.また, リピータビリティーの平均は0.55前後とやや低かった.日齢体重における種雄牛産地の効果の推定値は妥当な値であったが, 脂肪交雑における兵庫県の効果の推定値は予想されるほど高くなかった.種雄牛評価値間の相関は既に報告されている遺伝相関の値と似かよったものであった.さらに, 分子血縁係数行列を考慮した場合と考慮しない場合の種雄牛評価値間の相関は全形質で0.996以上であった.また, 間接検定成績との比較では間接検定のDGと日齢体重の種雄牛評価値の間に0.43, 枝肉歩留と脂肪交雑でともに0.28の相関が認められた。以上の結果より本研究で使用したデータでは日齢体重についてはある程度正確に評価できるものの, 枝肉歩留と脂肪交雑においては正確には評価されないのではないかと推察された.今後, より正確な種雄牛評価を行なうためには基準種雄牛を設定してその後代の一部を各々の子牛生産県や屠場に計画的に配置する必要があろう.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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