紅茶製造中における化学成分の変化について
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概要
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本年度(1953)1番茶,紅茶製造中の各過程における試料を採取し,カテキン,フラボン及びアミノ酸について二次元ペーパークロマトグラフを行つたところ,次のような結果が得られた。<BR>1.アッサム種,交雑種及びシネンシス種の生葉中のカテキン類においては,質的に甚しい相違を認めず,含有比率及び絶対量の相違が問題になるものと思われた。フラボン類はシネンシス種ほど多く,アッサム種が最も少かつたが,モール塩で緑青色に呈色するものはシネンシス種のみに見られなかつた。<BR>2.カテキン類の製造中における酸化進行状態は,三者共畧々同一状況を示した。フラボンは製造中にほとんど変化しないことを認めた。<BR>3.萎凋葉のクロマトグラムから,「萎凋」によりgellic acidの増加と, No.5 (gallocatechiu gallate)の出現及びNo.3 (DL-gallocatccbin)の分割が見られた。<BR>4.酸化の難易によりカテキン類が二大別され, No.2,3,6の系列がNo.6,9,10の系列より酸化をうけ易いものと思われた。gallic acidは製造の進行にともなつて漸増するスポットを与え, No.1(m-digallic acid)も幾分増大するものと思われた。<BR>5.紅茶原葉中にアスパラギン酸,グルタミン酸,セリン,グリシン,アスパラギン,スレオニン,アラニン,アルギニン,バリン,テアニン,ロイシンの11種を確認し,更にグルタチオンと思われるスポットと,グルタミン,ヒスチヂン,リヂンの中いずれか一つと思われるスポットを得た。<BR>6.紅茶製造において,アミノ酸の消長はカテキンのようなはつきりした変化はみられず,生葉と製茶の比較においても,アミノ酸の質及び量ともに甚しい相違が見られなかつた。<BR>最後に,御指導並びにアミノ酸を御恵与下さつた九大,大島康義教暖並びに中林敏郎氏に厚く感謝の意を表す。
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