2分離胚の移植によるヤギー卵性双子の作出
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概要
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交配後2〜2.5日目に採取した14個のヤギ2〜4細胞期胚をマイクロマニプレーターを用いて2群の割球に分離し,寒天で2重包埋後,結紮したヤギ卵管に仮移植して,5日間生体内で発生させた.仮移植した28個の2分離胚(14組の分離胚)のうち21個(10組の分離胚)が回収され,そのうち16個(7組の分離胚)が桑実胚〜胚盤胞に発育していた.これらの7組の2分離胚をdonorと発情日が同じか,あるいは1日遅く発情のみられた7頭のヤギ子宮に移植した結果,5頭が妊娠し,1頭は妊娠61日目に流産したが残り4頭は正常子を分娩した.4頭のうち2頭は一卵性双子を分娩したが,残り2頭は単子であった.近年,マウス1-3),ヒツジ4,5),ウシ6-8)およびウマ9)において,1個の初期発生胚をマイクロマニプレーター3用いて2個に分離あるいは分割し,その一組の分離胚をrecipientに移植することによって一卵性双子の得られることが報告されている.この技術を用いることにより,すぐれた遺伝形質を有する雌畜の増産3おもな目的として進められている受精卵移植において,貴重な胚を有効に利用でき,また性の異なる2個の胚を移植した時に生じるフリーマーチンの出現を阻止することができる.さらに,一卵性双子を種々の試験研究に用いれば,遺伝形質の相違による影響を除くことができ,信頼性の高い結果を得ることができるので供試動物としてきわめて有用である.したがって,成功率が高く,簡便な一卵性双子作製技術の開発が望まれている.著者ら10)は,さきに1個のヤギ胚を分離あるいは切断して得られた2分離胚をrecipientに移植することによって産子を得たが,一卵性双子を得るには至らなかった.今回さらに実験を進め,2例の一卵性双子ヤギを作出することに成功したので,その成績について報告する.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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