継続的な選抜が集団平均,遺伝率および育種価の分布に与える影響
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概要
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多くの世代にまたがる継続的な選抜が集団の性質に与える影響を予測する方法について,基礎的な検討を行なった.まず,縦軸が育種価G,横軸が環境効果Eを表わす座標平面に表型価P=G+Eを表わす軸を設けるには,つぎの方法によればよいことを明らかにした.1) まず,E軸を原点を中心として逆時計回りにπ/4ラジアン回転し,E=Gsin(π/4)+Ecos(π/4)=(G+E)/√2 2) ついで,E軸上の1単位の長さを,新しい軸上で√2単位の長さとするスケール変換を行なう,√2E=G+E=P.これにより,GとEの2変量分布をF(G,F)と書けば,Pに基ずいて切断選抜した部分のGの分布は,つぎの式で求められることが明らかになった,f(G)=∫e q-G F(G,E)dE.ただし,eは特定のGに対するEの上限または下限であり,qは選抜のための切断線のG軸切片である.この方法を用いて,継続的な選抜が一定の選抜限界を持つ閉鎖集団の性質に与える影響を調べた.縦軸に集団平均,横軸に世代を採って描いた選抜反応を表わすグラフは,選抜の方向に向って凸な曲線となった.基礎集団における選抜形質の遺伝率は,選抜によって世代とともに低下し,その低下の速さは,初めの遺伝率が高いほど大きかった.もし,基礎集団における育種価の分布が,左右対称であれば,選抜世代の初期に,それは,選抜を進めようとする方向に尾を引く歪んだ分布となった.その後,集団平均が選抜の限界に近ずくにつれて,育度価の分布は,左右対称にもどり,さらに,前とは反対に,選抜の方向とは逆へ尾を引く歪んだ分布となった.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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