肥育豚経営の労働生産性に関する諸要因の計量的分析
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概要
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個別経営の経営能率を測定するためには,経営全体の立場から経営目的との関連を考慮して労働,固定資本,土地,原材料などの要素生産性について綜合的に検討しなければならないが,経営の本源的な生産性は労働生産性によって把握することができる.また,経営管理あるいは経営分析の立場からすれば,経営能率を把握するためには,まず労働生産性を測定し,次にそれを構成する諸要因について分析を進めて行くことが実際的である.したがって,ここでは生産性の計測は労働生産性とその構成要因について,昭和45年農林省統計調査部「肥育豚生産費」を用いて行なった.肥育豚経営における労働生産性は付加価値を投下労働時間で除して得られるが,さらにこれを分解して示せば,労働生産性は付加価値率,固定資本回転率,資本装備率によって規定される.労働生産性は資本装備率との相関が非常に高く,資本装備率を1,000円高めることは,労働生産性を444円高めるという関係にある.しかしながら,飼養規模の大きい階層では労働生産控向上に対する資本装備率の寄与率は低下する傾向にあり,100頭規模階層以上では資本装備率の外に固定資本回転率の向上を図らなければ,効率的な労働生産性向上を期待することはできない.ただ,資本装備率と固定資本回転率の間には負の偏相関があり,資本装備率は経営管理上恣意的に設定することが可能であるので,労働生産性の向上を図るためには,とくに100頭以上の階層においては,まず第1に固定資本の回転率を高めることが経営能率上より重要な経営技術になると考えられる.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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