ヘキセストロールジ脂肪酸エステルの雄マウス下垂体前葉の性腺刺激ホルモンに及ぼす効果とその持続性:電子顕微鏡的研究
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概要
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ヘキセストロールおよびそのジ脂肪酸エステルならびにestradiol-17βの各100μgを,成熟雄マウスに1回のみ皮下投与し,7日,30日,90日後の下垂体を電顕的に観察し,次の結果を得た.1. LTH細胞の肥大と増生,2. FSH細胞の萎縮,3. LH細胞の肥大傾向.薬物投与と同時に,去勢を行うことによってLTH細胞の変化は増強するが,去勢によるFSH細胞の肥大(去勢細胞化)は抑制された.このことからヘキセストロールジ脂肪酸エステルのFSH細胞抑制効果,およびLTH細胞に対する刺激作用が確認された.これらの持続効果は,H2を除く一連のヘキセストロールジ脂肪酸エステルに認められた.しかしながら,その効果には投与物質による差異がみられ,今回の投与法,用量では一定期間後消滅する可能性が示唆された.一連のヘキセストロールジ脂肪酸エステルの下垂体前葉におよぼす効果およびその持続性を,とくにLTH細胞の肥大と増生を指標としてまとめた結果を表1に示した.投与7日後では,H4,H8,H6がその結果と持続性において著しく他にまさっており,3者間では形態学的に示される差異はなかった.投与後30日後においては,細胞学的には変異があるが,H2を除く一連のヘキセストロールジ脂肪酸エステルによる変化は持続し,H6では90日後も強く持続していた.200日後のH4,H6の投与例の一部に効果の持続があったが,他は一応形態学的に回復を示した.以上の実験のみからはヘキセストロールジ脂肪酸エステルの詳細な作用機序について明らかにし得ないが,これらの物質は他のestrogen物質と同様に,視床下部•下垂体•性腺系に働いて,重大な内分泌機能のインバランスを生ぜしめるものと考えられる.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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