低温環境下での雄雛の体温維持におよぼす甲状腺ホルモンの影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本実験は低温環境下での雄雛の体温維持におよぼす甲状腺ホルモンの影響を検討する目的で行ったものである.甲状腺除去雛にサイロキシンを全く投与せず,5°Cで処理したばあい,雛の体温は処理開始後6時間の間に急速に低下し,大部分が処理開始後24時間以内に死亡した.5°C処理の1日前および直前の2回,体重100gあたり1.5μgのL-サイロキシンを投与した雛では,5°C処理後の2日間は無投与の除去雛のような急速な体温の低下は認められなかったが,3日以降は比較的急速に体温が低下し処理開始後8日以内にすべてが死亡した.これに対して,同量のサイロキシンを5°C処理1日前から連日投与した除去雛の体温は処理開始1日後にいくぶん低下したのを除いて,対照群とほぼ同じ程度に保たれた.一方,20°Cで処理したばあいは,甲状腺除去雛にサイロキシンを投与しなくても,5°C処理のような急速な体温の低下および雛の死亡は,実験期間中を通じて認められなかったが,対照群あるいはサイロキシンを連日投与した除去雛に比較していくぶん低い体温を示した.次に,4時間,5°C処理を行い体温が著しく低下した甲状腺除去雛(サイロキシン無投与)を20°Cの室へ移動すると,その体温は移動後4時間の間に急速に上昇し,20時間後には5°C処理前の体温とほぼ等しい程度まで回復した,これらの結果より,甲状腺ホルモンは特に低温環境下において,雛の体温維持に重要な役割を演ずるものと推察された.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
著者
関連論文
- 雄ウズラの下垂体前葉の性腺刺激ホルモン力価の日内変動に及ぼす光周期と精巣除去の影響
- 鶏精子の生存性に及ぼす組織片培養された卵管及び腎臓組織と精子との距離の影響
- ステレオ装置によるニウトリの下垂体前葉の摘出
- 甲状腺機能を抑制した雄雛の成長および生存におよぼす環境温度の影響
- ウズラの精巣, 脈管豊多体およびクロアカ腺の重量に及ぼすプロラクチンの影響
- 低温環境下における鶏雛の体温におよぼすグルカゴンの影響
- 低温環境下での鶏雛の生存に対する微量サイロキシンの効果(短報)〔英文〕
- 低温環境下での雄雛の体温維持におよぼす甲状腺ホルモンの影響
- 長日処理下の雄ウズラにおける下垂体前葉の性腺刺激ホルモン力価に及ぼすテストステロン投与の影響
- 雄ウズラにおける下垂体前葉の性腺刺激ホルモン力価の日内変動と精巣の発達との関連
- 鶏の卵殻腺部内腔に注入したリン酸溶液の放卵誘起効果
- 鶏卵の体外受精
- 雄鶏に於ける透明液の性状に就いて-1-
- 鶏の卵殻腺部に対する糸の輪の刺激が卵殻腺液の分泌率とそのカルシウムおよび無機リン濃度におよぼす影響〔英文〕