泌乳マウスの行動における系統的差異

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泌乳マウスの自発性行動における系統的差異をC3H/He, C57BL/6およびCFW系を用いて調べた.調べた行動は暗時12時間における泌乳マウスの哺育,採食,巣作りおよび休息を示した時間である.分娩後2,4,6,8,10および12日の午後6時より翌朝の午前6時までの暗時に各泌乳マウスを2.5分間隔で継続的に赤色電燈下で観察した.各種行動の総時間および時刻別頻度から泌乳マウスの行動に系統的差異があることを調べた.この他,行動観察の前後に泌乳マウスの採食量,飲水量ならびに母と子マウスの休重を測定した.得られた主な結果は次の通りである.1) 哺育行動時間は泌乳期が進むにつれて各系統とも減少する.C57BL/6泌乳マウスは他系のものより暗時前半における哺育時間が泌乳期の進むに伴なって著しく減少した.2) 採食行動時間はこれに反して泌乳期が進むにつれて各系統とも増加したが,系統別にみるとC57BL/6泌乳マウスが他系のものより特に長い採食行動時間を示した.また,暗時前半においての採食時間の増加が泌乳期が進むにつれて,すべての系統の泌乳マウスに認められたが,特にC57BL/6泌乳マウスで顕著であった.3) これに関連して採食量は各系統とも泌乳期が進むにつれて増加し,その程度は採食行動時間のそれとほぼ同じであった.しかし,採食量の増加の程度には系統的差異は認められなかった.4) 巣作り行動時間はCFWおよびC57BL/6の泌乳マウスでは泌乳期が進むにつれて減少したが,C3H/He泌乳マウスではこれらと異なり泌乳中期に一時的に増加した.5) 生後12日齢までの子マウスの毎日の増体重から推定した母マウスの泌乳量の比較からは泌乳後半におけるC57BL/6の泌乳量の低下が認められた.6) これらのことからC57BL/6泌乳マウスの泌乳に伴なう採食行動時間の増加という特異的行動が哺育行動時間の減少をもたらし,さらに,同系統の泌乳量の低下に関連するのでないかと考察した.

泌乳マウスの行動における系統的差異

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