哺乳子牛における腸粘膜disaccharidase活性の発達
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概要
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1. 哺乳期における子牛の腸粘膜disaccharidase活性の発達を調べた.黒毛和種哺乳子牛13頭を用い,出生後24時間以内,4,6〜10,12および26週齢時にそれぞれ2〜3頭ずつ屠殺して,小腸7部位,盲腸,結腸から酵素活性測定のための組織切片と内容物を採取した.各切片は付着内容物を除いた後スライドグラスで粘膜を剥離し,これをホモジナイズして分析に供した.対照に胎児3頭,成牛4頭の腸粘膜dnsaccharidase活性も調べた.胎児は妊娠5〜6および7か月の成牛から得た.2. 哺乳子牛では小腸粘膜のlactase活性は高く,cellobiase, trehalase, maltaseおよびisomaltaseの活性は極めて低かった.lactase活性は出生時に最も高く,その後4週齢にかけて急減し,以降漸減した.胎児期にはこの活性は急速に増加し,また成牛ではほとんど認められなかった.cellobiaseとtrehalaseの活性もlactaseと同様な変化を示した.一方maltaseとisomaltaseの活性は胎児期,哺乳期を通して明瞭な傾向を示さず,成牛でも低かった.lactase, cellobzase, trehalaseの活性は主に小腸上部で観察された.maltaseとisomaltaseの活性は小腸全体に一様に観察され,盲腸および結腸にも認められた.そして26週齢ではむしろ小腸下部で活性が高くなった.小腸内容物のpHは出生時には全体的に低く(5.5〜6.5)酵素の至適pHに近い値をししたが,4週齢以降は小腸下部のpHが高くなった(7.0以上).
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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