反応熱分解ガスクロマトグラフィーによる末端変性および分岐化ポリカーボネートのキャラクタリゼーション

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水酸化テトラメチルアンモニウム（TMAH）共存下での反応熱分解ガスクロマトグラフィー（反応Py-GC）により，末端変性又は分岐化により高性能化したビスフェノールA（BPA）ポリカーボネート（PC）の構造キャラクタリゼーションを行った．末端基を部分的にp-クミルフェノキシ（PCP）基に変性して耐衝撃性を向上したPCを，反応熱分解温度400℃で測定して得られたパイログラム上には，主成分であるBPA，変性されたPCP末端基，およびBPA型PCに一般的なp-tert-フェノキシ（PTBT）末端基をそれぞれ反映する，メチル誘導体のピークが定量的に観測された．ピーク強度から算出した末端基を含む構成成分組成ならびに数平均分子量は，NMRやサイズ排除クロマトグラフィー（SEC）などによる参照値ともほぼ一致した．一方，1,1,1-トリ（4-ヒドロキシフェニル）エタン（THPE）を共重合することにより分岐構造を導入して成形加工性を改善した，分岐化PC試料を同様に反応Py-GC測定して得られたパイログラム上には，BPA単位とPTBT末端基に加えて，THPE分岐単位を反映するメチル誘導体のピークが観測された．これらのピーク強度から算出した成分組成は，PTBP : BPA : THPE＝3.7 : 95.8 : 0.5（mol％）であった．また，これらの結果を整理すると，一分子あたりの平均末端基数および平均分岐数はそれぞれ2.3及び0.33となった．これらをもとに計算した当該試料の数平均分子量は1.6×104であり，SEC測定による結果ともほぼ一致した．更に，平均分岐数から，当該分岐化PCについて，平均的には試料中の全分子の1/3が分子内に一つだけ分岐点を有し，残りの2/3は分岐を持たない直鎖状の分子であることが推定された．本法は，わずか50 μg程度の試料で，PCの化学構造を迅速にかつ定量的に解析することが可能である．また，測定の繰り返し再現性は，微量成分に対しても相対標準偏差5％未満であり，定量精度も高いことが示された．

反応熱分解ガスクロマトグラフィーによる末端変性および分岐化ポリカーボネートのキャラクタリゼーション

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