社会階層と食生活 : ―健康への影響の分析―
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
この論文では,社会階層の違いがどのように食生活の違いとして現れているのかを,健康への影響に着目して調べた.食生活として野菜と海藻を事例とした.分析の結果,高階層の人ほど野菜と海藻をよく食べ,そうした人たちほど健康と感じていた.野菜と海藻は,バランスのとれた食生活を象徴していると考えられる.これまで,社会階層が食生活にどう影響するのかは分かっていなかった.そこで,東京都西東京市在住の35〜59歳女性を対象として,郵送調査を実施してデータを得た(回収人数822人,回収率68.7%).分析の結果,以下のことが明らかになった.第一に,高階層の人ほど野菜と海藻を毎日食べていた.たとえば,高校卒のうち15.4%が毎日海藻を摂っていたのにたいして,大卒だと27.5%,大学院卒だと50.0%であった.第二に,野菜や海藻を毎日食べる人ほど,健康と感じていた.野菜と海藻のどちらも毎日は食べない人のうち,健康に幸せまたはやや幸せと感じるのは81.2%,両方を毎日食べる人のうちでは91.1%だった.第三に,教育から健康への影響を調べた結果,野菜と海藻の摂取が媒介変数となっていた.第四に,みそ汁摂取と朝食摂取が効果をもたなかったので,伝統的な食生活や規則正しい食生活が,健康を促すわけではなかった.
著者
関連論文
- 近代組織におけるフリーライダーの抑制 : ―対戦相手変更コストが協力行動の促進に果たす役割―
- 社会階層と食生活 : ―健康への影響の分析―
- 日本社会学会(学会報告)
- 社会規範の数理社会学にむけて
- Gary S. Becker"Accounting for Tastes."
- 進化ゲーム理論研究会
- 3人以上でのゲームにおける進化的に安定な戦略
- 合意形成における評価戦略の進化
- 多様な評価原理からの全員一致 : 繰り返し評価形成モデル
- 永田えり子著『道徳派フェミニズム宣言』
- 成蹊大学での社会調査士課程への取り組み(特別セッション 社会調査士資格-これまでの経緯と今後の展望-)
- 臓器移植法の成立過程の原理プロファイルモデル
- Erratum : 社会階層と食生活―健康への影響の分析― : [『理論と方法』, 25(1):81-93]
- ポイント制度によるソーシャル・ネットワーキング・サービスの活性化