開放培養系・無血清培養法による牛卵子の体外成熟培養
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
体外成熟培養法として,微小滴培養系および開放培養系を比較し,さらに開放培養系におけるFSHとエストラジオール(E2)を添加した完全合成培地への牛胎児血清(FCS)または上皮性成長因子(EGF)添加が,牛体外受精卵の発生率に及ぼす影響について検討した.未成熟卵子を次の条件で体外成熟した後,常法にしたがって体外受精,発生培養を行った.実験1.流動パラフィンで培地を覆わない開放培養系(培地500 μl/ウェル)と培地小滴を覆う微小滴培養系(培地100 μl小滴)を比較した.成熟培地は,10% FCS,FSH(2 μg/ml)およびE2(1 μg/ml)を添加した25 mM HEPES緩衝 TCM-199培地(TCM-199)とした.その結果卵割率(65.4% vs. 64.1%)および胚盤胞発生率(22.8% vs. 17.6%)について,両区間に有意差は認められなかった.実験2.未成熟卵子を,A)TCM-199+FSH(2 μg/ml)+E2(1 μg/ml), B)TCM-199+FSH+E2+FCS(10%), C)TCM-199+FSH+E2+EGF(10 ng/ml)の3試験区に分け,実験1の開放培養系を用いて成熟培養を行った.その結果卵割率(各68.9,67.4,73.1%)および胚盤胞発生率(各23.0,22.7,25.9%)について,各区間に有意差は認められなかった.このことから開放培養系においてFSHとE2を添加したTCM-199培地は,同培地に血清添加した場合と同等の発生率が得られることが示され,血清は必ずしも必要ではないことが明らかになった.また同培地へのEGF添加の効果は明らかにできなかった.
- 日本繁殖生物学会の論文
著者
関連論文
- 比内鶏の遺伝的な特徴
- 比内鶏の遺伝的多様性の調査
- マイクロサテライト多型を用いた犬の親子判定(臨床繁殖学:)
- ウ゛ェトナムにおける外国系アヒルの体重に関する遺伝的パラメター
- ウ゛ェトナムにおける外国系アヒルの体重に関する遺伝的パラメター
- 市場流通形態の検体を用いた比内地鶏のDNA識別手法の有効性の検証
- P1ファ-ジを用いたブタ巨大DNA断片のクロ-ニング(短報)
- 交雑種を用いた黒毛和種の種雄牛評価
- ニワトリ腺性下垂体の細胞分化に関する免疫細胞化学的研究
- 開放培養系・無血清培養法による牛卵子の体外成熟培養
- ニワトリゲノム研究の現状と展望
- 地域特産鶏肉のDNA識別手法の現状と課題
- 家畜・家禽における遺伝子マ-カ-に関する研究
- ニワトリ遺伝資源の系統分類とその応用
- マイクロサテライトDNA多型に基づく日本鶏の遺伝的類縁関係の解析
- ニワトリのマイクロサテライトDNAの効率的単離法
- PCR法によるウシ胚の性判定技術の検討
- PCR法によるウシリンパ球を検体とした雄特異的DNA配列の検出
- 開放培養系・無血清培養法による牛卵子の体外成熟培養
- P1ファージを用いたブタ巨大DNA断片のクローニング
- ウシ・グレリン受容体遺伝子の塩基多型、分子進化およびその塩基多型と産肉形質との関連性
- 比内鶏の遺伝的多様性の調査