既知顔と未知顔の記憶表象の差異:内部特徴と外部特徴の示差性を操作した画像選択課題
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概要
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本研究では,既知顔と未知顔の特性の差異を,顔の内部特徴と外部特徴の分析を通じて検討した.実験では,既知顔および未知顔をターゲットとし,示差性を操作した複数の刺激画像の中から“最もその人らしい顔”を選択する課題を用いた(画像選択課題).選択用の刺激として,オリジナル画像の部位(内部特徴・外部特徴・全体)ごとに,オリジナル画像と平均顔との示差性の差異を10%間隔で操作した画像を用いた.選択用画像は,各部位ごとに,オリジナル画像(100%),示差性を平均化した画像(50〜90%)と誇張した画像(110〜150%)であった.実験1では,既知顔について,画像選択課題を行った.その結果,内部特徴の示差性を操作した条件(内部操作条件)では,外部特徴の示差性を操作した条件(外部操作条件)に比べて,示差性を高く操作された画像が選択された.実験2では,未知顔について画像選択課題を行った.その結果,いずれの部位の示差性を操作した条件でも,選択された画像の示差性操作率に差異はなかった.結果より,既知顔の内部操作条件では,内部操作条件よりも,示差性の高い画像が選択されたことから,既知顔の内部特徴の記憶表象は,外部特徴に比べて,示差性が誇張された表象であると考えられた.一方,既知顔の外部条件および未知顔では,選択された画像の示差性操作率に差異がなかった.以上より,既知顔と未知顔の記憶表象の差異は,内部特徴と外部特徴の示差性の誇張の有無にあると考えられた.
- 日本認知心理学会の論文
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