わが子をドラッグ使用者として語り続けることへの逡巡
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概要
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「薬物中毒」や「薬物依存」,「薬物乱用」という公的な言葉は,それに「名指し」されるドラッグ使用者にとって中傷/侮蔑的な感覚を喚起することがある。そのため,ドラッグ使用者となったわが子をもつ「親」にとっても,わが子を侮蔑する可能性がある公的な言葉の使用に困難を経験することがある。「親」のこの困難な経験は,同じ経験を有する「親」同士のネットワークを組織化させ,そのなかで,わが子を語ることができる言語として「病者の言葉」を生み出す。しかし,病者の言葉が公共領域に届かないなかで,「親」はみずからが使用する病者の言葉によって,——その言葉を「主体的」に発話するからこそ,その行為にいっそう抗いがたく——わが子を病者として扱わなければならなくなるという問題が生じる。本研究では,違法ドラッグ問題のなかで,そのような「親-子関係」の構成と関わる言語/言説の権力作用について検証していく。
著者
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- 著者より(『ドラッグと刑罰なき統制-不可視化する犯罪の社会学』, 本田宏治著, 四六判, 308頁, 3,150円, 生活書院, 2011年)
- 『ドラッグと刑罰なき統制-不可視化する犯罪の社会学』, 本田宏治著, 四六判, 308頁, 3,150円, 生活書院, 2011年