ドラッグ問題に対するリスク社会論的考察 : ハーム・リダクション政策の権力構造を焦点として(II 自由論文)
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概要
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ハーム・リダクションと呼ばれるドラッグ政策が,西欧の一部の国々において展開されている.この政策ではドラッグ使用者の摘発や検挙を一義的とせず,治療面においてもドラッグ使用者に断薬を強制しない.当該政策では,公衆衛生や社会,経済に及ぼす害を「リスク」という抽象的な変数として扱うことが一義的な課題となる.本稿では,リスク社会論の立場から当該政策を検証する.そこで着目するものが,「数え上げ」と「空間」という二つのテクノロジーである.「数え上げ」とは,全体的なドラッグ使用者の中から「リスク」グループを割り出し,プロスペクティブに介入するテクノロジーである.「空間」とは「ドラッグ」や「ドラッグ使用者」に直接関わるのではなく,それらの「リスク」が相互に折り重なる地点に介入を集約するテクノロジーである.ハーム・リダクション政策とは,この二つのテクノロジーの連動が構成する権力構造によって成り立っていると考える.
- 2006-10-18
著者
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- 著者より(『ドラッグと刑罰なき統制-不可視化する犯罪の社会学』, 本田宏治著, 四六判, 308頁, 3,150円, 生活書院, 2011年)
- 『ドラッグと刑罰なき統制-不可視化する犯罪の社会学』, 本田宏治著, 四六判, 308頁, 3,150円, 生活書院, 2011年