化学放射線療法後に生じた異時性転移再発に対し遂次的局所療法を繰り返し,長期生存が得られた肺腺癌の1例
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概要
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背景.肺癌転移/再発病巣への局所療法の効果は,特に原発巣非切除症例では対症療法以外認められていない.症例.68歳男性.右肺門部腺癌(cT2bN1M0).低肺機能にて2000年10月放射線化学療法施行.部分寛解となり,シスプラチン,テガフール・ウラシルで地固め療法を施行.2001年5月,脾腫瘍出現.増大急速なため,脾破裂回避目的で脾摘施行.病理学的に肺癌転移と考えた.2ヶ月後,右鼠径リンパ節転移認め切除.2002年8月,右鼠径リンパ節再発認め,放射線30 Gyで完全寛解を得た.鼠径リンパ節転移後はゲフィチニブで補助療法施行したが,2003年8月,新たに縦隔リンパ節転移を生じた.病変は隣接臓器浸潤を認めず,外科的に完全切除し得た.その後追加治療なしに2009年9月現在無再発生存している.結論.放射線化学療法にて良好なコントロールを得た局所進行非小細胞肺癌症例において,異時性に生じた多発転移病巣に対し放射線,外科切除を含む局所療法を施行して長期生存を得た.原発巣のコントロールが良好であれば局所療法は根治的意義を持つ可能性があり,患者の状態が許せば切除可能な転移病変の外科切除は検討すべきと考えた.
著者
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山川 久美
独立行政法人国立病院機構千葉東病院呼吸器外科
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藤野 道夫
独立行政法人国立病院機構千葉東病院呼吸器外科
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岩田 剛和
独立行政法人国立病院機構千葉東病院呼吸器外科
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松井 由紀子
独立行政法人国立病院機構千葉東病院呼吸器外科
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藤原 大樹
独立行政法人国立病院機構千葉東病院呼吸器外科
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藤野 道夫
独立行政法人国立病院機構千葉医療センター呼吸器外科
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