細菌small RNAによる遺伝子発現調節機構
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概要
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細菌small RNAは従来の遺伝子間領域にコードされる調節性のRNAである。2001年から2005年にかけて,ゲノムインフォーマティクスやゲノムアレイ,ショットガン法などを用いて,大腸菌新規small RNA候補の検索がさかんに行われた。これまでに約50〜400ヌクレオチドの大きさの80種ほどのsmall RNAが同定されている。これらは機能や標的の種類によって3グループに分けることができる。第1のグループは,特定のタンパク質と結合し機能を表わすもの 第2のグループはアンチセンスRNAで,逆鎖にコードされているtoxinのmRNAに結合し発現を阻害するもの 第3のグループは20ヌクレオチドほどの塩基対により,small RNAとは異なる遺伝子座にコードされている特定のmRNAに結合する。主に環境ストレス下で発現し,標的mRNAの発現を抑制または促進する。本総説ではこのtrans反応性,塩基対依存性のsmall RNAを中心に,ストレス応答やクオラムセンシングにおける調節機能について述べる。
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