障害者施策推進の住民会議のあり方とアクションリサーチにおける 研究者の関わり方に関する方法論的考察
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概要
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本研究の目的は,障害者施策における住民会議のあり方を検討すること,および,その過程を通じて,アクションリサーチにおいて研究者はいかにフィールドと関わるべきかについて方法論的に検討することである。本研究でとりあげた事例は,ある地方都市の障害者施策推進に関する住民会議であり,筆者は住民会議の運営において中心的な役割を果たした。筆者の会議への関わりを,筆者の発言,提出資料,メールから時系列的に再構成した。住民会議の当初目標は,結果的には達成されなかった。その主な原因は,活動の目標が共有されなかったこと,文書資料の準備不足,市職員,座長,筆者の打ち合わせの不足であった。この過程をアクションリサーチの方法論の問題として検討した結果,当事者,すなわち,住民会議のメンバーのセンスメーキングを促すようなセンスメーキングを研究者が行うことが重要であるとわかった。例えば,メンバー間をコーディネートすること,住民会議の場で自明視されていたり,人々がうまく言葉にできなかったりする現象を研究者が言語化することである。また,得られた知見の文脈を同定し,他の事例への転用可能性を高めるために,研究範囲と期間(ローカリティ)を限定することも重要であることが示唆された。さらに,このためには,研究者とフィールドとのコンタクトの記録を保存して,フィールドワークの文脈を明示化することが重要との知見が得られた。
著者
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