親密な関係におけるメタ認知バイアス―友人間の透明性の錯覚における社会的規範仮説の検討―
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究は人々が自分の好みや判断が他者に見透かされる程度を過大視する傾向(透明性の錯覚)が未知の他者が相手の場合よりも,友人が相手の時により顕著になることを示した。研究1では,被験者間デザインを用いて友人間と未知者間の透明性の錯覚の程度を比較した。友人間での方が錯覚量が大きいことが示された。研究2では,社会的規範により友人間での透明性の錯覚が増大しているという代替説明を検討した。友人間の透明性の錯覚は,実験参加者が正確な推測に動機づけられている場合でも低減せず,社会的規範の代替説明は棄却された。他者の選好や判断を見透かすことのできる程度に関する錯覚についても検討がされ,友人間での方がこの錯覚も大きくなることが示されたが,未知の他者の選好や判断を見透かすことのできる程度についての錯覚は正確な予測が動機づけられた場合増大した。これらの錯覚をもたらすメカニズムについて考察がなされた。
著者
関連論文
- 寮生調査報告 : 寮生と非寮生との比較(女子大学寮に関する心理学的・歴史的研究)
- 感情予測におけるネガティブ経験の効果--経験は他者の感情予測に役立てられるか
- 制御焦点の違いが嘘をついたときの透明性の錯覚に及ぼす効果
- R. E. ニスベット(著), 村本由紀子(訳), 『木を見る西洋人 森を見る東洋人: 思考の違いはいかにして生まれるか』, (2004年, ダイヤモンド社)
- 平均点以上効果が示すものは何か : 評定対象の獲得容易性の効果
- 対人認知過程における血液型ステレオタイプの影響 ―血液型信念に影響されるものは何か―
- 行為者はなぜ観察者の対応バイアスを過大視するのか : もう一つの説明可能性
- 原因帰属の自己奉仕バイアスに及ぼす理由思考の効果 : よく考えることで自己奉仕バイアスは強まるか
- 脅威を受けた次元(領域)とは無関連な次元における下方比較 : より柔軟な下方比較像へ
- 内集団・外集団に対する自分の意見・態度の投影プロセスの実証的検討 : 集団間の意見分布推定と集団間関係
- 能力に関する自己評価が自己の能力に関する情報収集行動に及ぼす効果の測定の方法論の検討 : 自己評価と課題の診断性の認知の関係
- さまざまな自己信念と抑鬱傾向の関係について : 法則定立的尺度によるセルフ・ディスクレパンシー理論の検討
- 抑欝的な人の好ましくない場面の認知について--好ましくない程度の認知の仕方
- 特性的自己意識と活性化される情報処理過程の関係について
- 感情予測におけるネガティブ経験の効果 : 経験は他者の感情予測に役立てられるか
- 親密な関係におけるメタ認知バイアス―友人間の透明性の錯覚における社会的規範仮説の検討―
- 559 ものごとがうまくいかないときの諸反応(II)(社会B(2),口頭発表)
- 558 ものごとがうまくいかないときの諸反応(I)(社会B(2),口頭発表)
- インターネットでの情報表示遅延認知が態度に与える影響