状況の現実感尺度の再検討:2つの仮想世界ゲーム実験から
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概要
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状況の現実感尺度(柿本,2004)の妥当性を,仮想世界ゲーム(広瀬,1997)を用いて構成された集団間状況において検討した。研究1では従来型の仮想世界ゲームを用いた実験が行われ,研究2では今回新たに開発されたその電子試作版を用いた実験が実施された。研究1では参加者がゲームのルールを学習しその状況を想像しただけのシナリオ条件と,実際のゲームに携わったゲーム実施条件の間で,状況の現実感尺度の各下位尺度得点と全体尺度得点を比較した。予想通り,ゲーム実施条件でシナリオ条件でよりも状況の現実感尺度の諸得点が大きいという傾向がみられた。研究2では電子試作版のゲーム場面と,研究1の従来型のゲーム場面からの結果を比較した。電子試作版では,その特徴を反映して参加者の現実感が従来型よりも小さかった。下位尺度の得点パターンとともに,全体としてこの尺度が状況の現実感を比較的良好に捉えていると解釈できた。いくつかの研究方法上および理論上の問題が議論された。
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