エタネルセプト使用中に修飾麻疹を発症した関節リウマチの1例
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概要
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今回我々は麻疹罹患歴のある関節リウマチの患者で,エタネルセプト使用中に麻疹の再罹患が起きたと考えられた症例を経験した.症例は69歳女性.関節リウマチに対して,副腎皮質ステロイド薬に加えてエタネルセプトによる治療を開始し,その8週間後に発熱および食思不振を認め,全身状態不良となり入院となった.細菌感染を疑い第1病日より抗生剤投与を開始するも効果なかった.第4病日より全身に多発する一部に癒合傾向を伴った丘疹性紅斑が出現した.ウイルス感染症を否定するために,各種ウイルス抗体価を測定したところ,麻疹抗体IgG値,IgM値ともに上昇を認め,修飾麻疹と診断した.また,経過中に重度の白血球減少を認め,骨髄穿刺を施行した結果,骨髄の著明な抑制状態を認めた.これは麻疹感染によるものと考えられ,重症の修飾麻疹と考えられた.本症例は,抗TNF-α製剤使用中に修飾麻疹を発症した初めての報告である.抗TNF-α製剤が,麻疹の再罹患および麻疹の重症化に関与した可能性が示唆された.
著者
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吉田 健
東京慈恵会医科大学 内科学講座リウマチ・膠原病内科
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金月 勇
東京慈恵会医科大学内科学講座第3
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黒坂 大太郎
東京慈恵会医科大学内科学講座第3
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山田 昭夫
東京慈恵会医科大学リウマチ膠原病内科学講座
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高橋 英吾
東京慈恵会医科大学内科学講座リウマチ・膠原病内科
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柳町 麻衣美
東京慈恵会医科大学内科学講座リウマチ・膠原病内科
-
黒坂 大太郎
東京慈恵会医科大学内科学講座リウマチ・膠原病内科
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