小児ネフローゼ症候群頻回再発例にcyclophosphamideを投与する場合, 開始前に完全寛解導入は必要か?
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概要
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小児ネフローゼ症候群の頻回再発例 (FR) にcyclophosphamide (C) を投与する場合,C開始前にステロイド剤を増量し完全寛解に導入しなくても,再発抑制効果が変わらないかを検討した。FR32例を対象とし,再発時点でprednisolone (PSL) を増量し,完全寛解に導入した後にCを開始したA群 (15例) と,再発時点でPSLを増量せず,Cを開始したB群 (17例) に分け,B群のうち寛解に至ったものをB群 (14例) として以下の結果を得た。1) A群,B群は同様のclinical profileだった。2) C投与前後で再発頻度は有意に減少し (A群; 投与前2.3±0.9,後0.6±1,B群; 前2.7±1.2,後0.4±0.5回/年,いずれの群も投与前後でP<0.01),また,A群とB群の再発頻度には有意差はなかった。3) 再発時点から1年間の平均PSL総投与量はB群ではA群に比し有意に少なかった (A群; 141±61,B群; 80±57mg/kg/年,P<0.01)。4) Cの副作用は両群ともに各2例 (A群13%,B群14%) に排尿時痛が見られたが一過性であった。結論として,FRにCを投与する場合,開始前に完全寛解に導入することに明らかな有用性は認められず,再発した時点でステロイド剤を増量することなくC投与が可能である。
- 日本小児腎臓病学会の論文
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