婦人科周術期（準清潔手術）における抗生物質の予防投与

概要

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婦人科準清潔（clean-contaminated）手術に際し，従来当科では術後4日間の抗生物質投与を標準としてきた．しかし，米国疾病予防管理センター（CDC）による手術部位感染予防に関するガイドライン1999では，子宮摘出手術等の準清潔手術に際し，抗生物質の術前投与および術中・術後数時間の抗生物質血中濃度の維持が重要とされ，術直前および術中投与のみが推奨されている．当科では，2003年4月よりこのガイドラインに沿った抗生物質の投与法に変更し，現在までこれを標準としている．そこで変更前後2年間における手術部位感染（surgical site infection：SSI）やSSIが原因でない発熱の頻度を比較検討した．術後投与群149例に対し術前・術中投与群は157例で，手術部位感染の頻度はそれぞれ9例（6.0％）および8例（5.1％）と有意差を認めなかった．またSSIが原因でない発熱の頻度にも差を認めなかった．これを良性疾患症例群（術後投与群82例 vs. 術前投与群66例），悪性疾患症例群（同35例 vs. 50例），腟式単純子宮全摘出術群（同18例 vs. 22例），広汎子宮全摘出術群（同14例 vs. 19例）に階層化したところ，広汎子宮全摘出術群を除くそれぞれの群で手術部位感染発生頻度に有意差を認めなかった（2.4〜7.7％）．またすべての群でSSIが原因でない発熱の頻度に有意差を認めなかった．広汎子宮全摘出術群では両群での手術部位感染発生頻度に有意差は認めなかった（35.7％ vs. 21.1％）ものの，他の群に比べ手術部位感染発生頻度が高かったため，それまで術後約1週間留置していたドレーンを翌日抜去する群，またはドレーンを留置しない群に順次変更し，長期ドレーン留置群でみられた腹腔内術後手術部位感染の発生をみなくなった．〔産婦の進歩61（3）：211-216，2009（平成21年8月）〕

婦人科周術期（準清潔手術）における抗生物質の予防投与

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