家族性低C3血症の臨床学的検討とその発症機序に関する検討
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概要
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膜性増殖性腎炎 (MPGN) において低補体血漿を伴うことはよく知られている。また低補体血漿を伴うpartial lipodystrophyに膜性増殖性腎炎が発症することより低補体血漿がその発症の一要因として重要視されている。 母から子に遺伝する低C3血症については,Westらが2家系を報告したのに始まり1)2)H因子に対して結合を異にするC3異常症と,腎生検組織所見によってMPGN typeIIの所見をあわせて示すことより,腎炎の発症機序と低補体の関連について興味がもたれた。我々はC3の機能異常を伴う例について,遺伝子学的検索を行い,C3のI因子の作用部位に異常を示す症例について報告した3)。現在まで家族性の低C3血症を示すその他の例についてもI因子,H因子,F,Sの移動度を決定する部位についての遺伝子学的検討を行った。しかしながらI因子,H因子の部位の遺伝子配列に関しては異常は認められず,またF,Sの部位についてはすべてSであり,特にcontrolとの遺伝子学的な差異を見い出しえなかった。これらの患者にしばしばC3NeF活性や,補体のbreakdown productsの存在が認められることより,補体の活性化による低下という面からの検討を行った。 Spitzerらは,C3NeFについてはidiotype検体の出現があり,これがC3NeFは産生亢進,抑制を認節している可能性について報告4)5)している。このような観点から家族性低C3血症について検討し,idiotype検体の問題点について患者および母親について検索したのでその結果について報告する。
著者
-
香坂 隆夫
国立小児病院小児医療研究センター 免疫研究室
-
池谷 健
国立小児病院小児医療研究センター 免疫研究室
-
小林 登
国立小児病院小児医療研究センター 免疫研究室
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池谷 健
国立小児病院小児医療研究センター
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小林 登
国立小児病院
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