深部糸球体での糸球体硬化発症優位性の機序
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概要
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巣状糸球体硬化症では糸球体の大きい深部糸球体から硬化が発症し表層糸球体へ進行するが,ラットモデルを用いてこの機序の検討を行った。Lewisラットをコントロール群 (C群) とアドリアマイシン静注+片腎摘出群 (AN群) に分け,0週 (C群のみ),8週および16週後に糸球体硬化度と糸球体面積を表層糸球体と深部糸球体に分けて検討した。更にiron dextranを静注し,メサンギウムヘの沈着度も検討した。その結果,元来深部糸球体は表層糸球体より大きく,AN群の深部糸球体では8週後にはC群に比較して有意に大きな糸球体となった。一方,AN群の表層糸球体では16週間かけて糸球体肥大が進んだ。AN群の深部糸球体においてiron dextranの沈着度は8週で,糸球体硬化度は16週で高値を認めた。以上より本ラットモデルでは,深部糸球体は元来大きく,片腎摘出により更に深部糸球体の肥大が進行する事と,メサンギウムヘの高分子物質の沈着亢進が,深部糸球体での糸球体硬化発症の優位性と関係していると考えられた。
- 日本小児腎臓病学会の論文
著者
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宇南山 貴男
横浜市立大学医学部 小児科学教室
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吉田 義幸
横浜市立大学医学部 小児科学教室
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中村 智子
小田原市立病院小児科
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伊勢 道仁
呉羽化学生物医学研究所
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中村 智子
横浜市立大学医学部 小児科
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伊東 里美
呉羽化学生物医学研究所
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吉田 義幸
横浜市立大学小児科
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吉田 義幸
横浜市立大学附属浦舟病院 小児科
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