沖縄久米島近世人骨における踵骨の距骨関節面形状について
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概要
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久米島近世成人人骨222個体396側を用い,踵骨の距骨関節面形状を4型(連続型・くびれ型・分離型・前関節面欠損型),距骨の踵骨関節面形状も4型(連続型・角型・溝型・前関節面欠損型)に分類し分析を行った。結果,男女とも左右踵骨の距骨関節面形状で有意に連関を認めた。成人踵骨の距骨関節面形状の出現頻度に左右差および年齢差は認めなかった。性差では男性のくびれ型の出現頻度が有意に高く,連続型の出現頻度が有意に低い値となった。踵骨の距骨関節面形状と距骨の関節面との連関は,連続型と連続型,くびれ型と角型,前関節面欠損型と前関節面欠損型と,3型でほぼ1対1の対応関係を示し,分離型は距骨の角型と溝型の2つの関節面形状に対応した。前・中距骨関節面計測値より,関節面長(AB)は,連続型と比較し,くびれ型が有意に長く,深さ(C)は,連続型と比較し分離型が有意に深い値を示した。深さ示数(C/AB)も同様に連続型と比較して,分離型が有意に高い結果となった。踵骨の距骨関節面の分離型出現頻度は,現代の中部九州および近世久米島集団が高い値を示し,現代の北陸集団および縄文時代の東北および北海道集団が,有意に低い値を示した。近世久米島では,足部の内返しおよび外返しの動きが必要な生活様式は少なかったと考えられ,分離型の踵骨関節面形状の出現頻度が高いのではないかと思われる。踵骨の距骨関節面の形状の機能的意義については,前・中距骨関節面の深さ示数が高い分離型の場合,踵骨の前・中距骨関節面の凹面と,距骨の前・中踵骨関節面の凸面が深くはまり込むことで,関節の安定性が増加すると考えられた。縄文時代から現代にかけて生業が変化し,足の可動域が不要になっていく過程で関節面形状も変化したと考えられた。
著者
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蔵元 秀一
琉球大学医学部機能形態医科学講座解剖学第一分野
-
譜久嶺 忠彦
琉球大学医学部機能形態医科学講座解剖学第一分野
-
久高 将臣
琉球大学医学部機能形態医科学講座解剖学第一分野
-
西銘 章
沖縄県教育庁
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石田 肇
琉球大学医学部機能形態医科学講座解剖学第一分野
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