サルモネラによる急性腎盂腎炎にて,急性腎不全を来した1例
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概要
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症例は9歳の女児。発熱,左側腹部痛,肉眼的血尿にて発症し,サルモネラO9群による左腎盂腎炎と診断した。発症初期,ジクロフェナクを使用していた。BUN60mg/dl,Cr2.3mg/dlと急性腎不全を来したが,乏尿はなく,保存的療法にて改善した。左の膀胱尿管逆流,外尿道口狭窄があったが,外科的に外尿道口狭窄を解除した後,膀胱尿管逆流は消失した。経過中,尿蛋白が約10日間持続し,FENaの上昇もあったことから,腎前性腎不全とともに腎性腎不全の要素も考えられた。重症の下痢を伴うサルモネラ腸炎の急性腎不全症例はよく見られるが,下痢のないサルモネラ感染症において急性腎不全を来した症例はまれである。また,急性腎盂腎炎に急性腎不全を合併することもまれであり,ジクロフェナクを使用したこと,炎症反応が強かったこと,起炎菌がサルモネラであったことなどが急性腎不全発症の一因として推察された。
- 日本小児腎臓病学会の論文
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