メシル酸イマチニブによる術前補助療法が奏効し肛門温存手術が可能となった直腸GISTの1例
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概要
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症例は94歳男性,2003年に25mm大の直腸GISTを指摘されたが2年間腫瘍径の変化なく,以後フォロー中断されていた.今回排便困難を主訴に近医受診し腫瘍増大を認め,2009年12月当科受診された.理学所見・画像検査で直腸に最大径80mm大の粘膜下腫瘍を認め,2010年1月よりメシル酸イマチニブを開始した.投与後,全身浮腫(grade 3)・骨髄抑制(grade 2)などの副作用を認めたが,腫瘍縮小効果を認め,肛門温存手術が可能と判断した.投与開始4ヵ月でイマチニブ内服中止し,同年6月経仙骨的直腸腫瘍摘出を行った.腫瘍は50mm大で,病理組織学的検査で紡錘形細胞の索状配列を認め,c-kit陽性でGISTと診断した.下部直腸に発生したGISTは,小骨盤腔を占拠し切除困難なことがあり,また直腸切断を含めた直腸切除が必要な場合は術後排便機能障害をきたす.本症例ではイマチニブの腫瘍縮小効果により根治性を保ちつつ肛門機能の温存が可能となった.(著者抄録)
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日本大腸肛門病学会 | 論文
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