中枢神経障害にともなう関節拘縮を考える : 関節固定にともなう関節拘縮との比較を通して
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概要
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近年,動物モデルの分析を通じて,関節固定そして中枢神経障害にともなう関節拘縮はそれぞれ区別されるべきとの根拠が提示されるようになってきた。これまでに得られた結果は(1)原因が異なると,関節拘縮の進行に筋と関節構成体のそれぞれが関与する割合は異なる,(2)滑膜に生じる病理変化は中枢神経障害モデルの変化の方がより多面的である,(3)原因が異なると,関節軟骨の厚さに異なる変化が異なる分布で発生する,と要約できる。現時点では治療法は区別されていないが,こうした知見は原因別に最適化された治療アプローチが必要であることを示している。これまで各種治療の関節可動域の治療効果は,主に関節固定モデルを用いて検証されてきた。そこで得られた情報は,中枢神経障害における関節拘縮の治療でも利用できる可能性がある。しかし,病態は同一ではないため,治療による可動域,そして組織への効果は,原因ごとに検討される必要がある。Analyzing experimental animal tests, there is growing evidence demonstrating that respective contractures following joint immobilization and central nervous system(CNS)injury should be distinguished. Results from the tests could be summarized as follows:(1)roles of muscular and articular factors in the progression of contractures are different causedependently, (2)pathological changes in synovial membrane are more complex in contractures following CNS injury,(3)depending on the cause of contractures, differences in articular cartilage thickness appear in different manners and locations. These findings indicate that differing optimized therapeutic approaches are required cause-dependently, whereas such a distinction is not made at present. To date, the effect of therapeutic strategies on joint range of motion has been studied using experimental joint immobilization models mainly. Information from these studies could be used to treat contractures following CNS injury. However, therapeutic effects on joint motion, morphology and physiology should be tested for joint immobilization and CNS injury models, respectively, because differences are seen in pathology.総説General Article
- 県立広島大学の論文
著者
-
小野 武也
県立広島大学 保健福祉学部理学療法学科
-
森山 英樹
埼玉県立大学保健医療福祉学部理学療法学科
-
武本 秀徳
県立広島大学保健福祉学部理学療法学科
-
大塚 彰
広島県立保健福祉大学理学療法学科
-
沖 貞明
広島県立保健福祉大学理学療法学科
-
大塚 彰
県立広島大学 保健福祉学部理学療法学科
-
沖 貞明
興生総合病院 リハビリテーション科
-
小野 武也
広島県立保健福祉大学保健福祉学部理学療法学科
-
小野 武也
広島県立保健福祉大学理学療法学科
-
小野 武也
東北大学大学院運動機能再建学
-
Ono Takeya
Department Of Physical Therapy Faculty Of Health Sciences Prefectural University Of Hiroshima
-
Ono Takeya
山形県立保健医療大学
-
森山 英樹
神奈川県立保健福祉大学 リハビリテーション学科
-
Otsuka Akira
Department Of Physical Therapy Faculty Of Health Sciences Prefectural University Of Hiroshima
-
Oki Sadaaki
Department Of Physical Therapy Faculty Of Health Sciences Prefectural University Of Hiroshima
-
大塚 彰
Department Of Physical Therapy Prefectural University Of Hiroshima
-
小野 武也
県立広島大学大学院 総合学術研究科
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