和服構成における着装容姿についての考察
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概要
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和服の仕立て上がり寸法を決める割り出し法の有効性は、著者等のこれまでの一連の研究により確認している。なかでも標準体、JIS規格によるMサイズについては検討課題も皆無ではないにしろ、ほぼ良好との感触を得ている。 これまでMサイズを対象とする時、当然のこととして腰囲と胸囲が相対的な数値の範囲、つまり腰囲・胸囲共にMサイズの範囲内にあることを前提としていた。ところが、最近の若い女性は体格が向上し、腰囲に比較して胸が豊かな傾向がみられ、腰囲はMサイズでも胸囲がLサイズのタイプが少なくない。現に、本学服飾造形学科で開講している「和服構成演習」履修者に、そうした体型の学生が見受けられる。割り出し法は身体各部を計測して寸法を算出する方法であり、その際に算出の基準とするのは腰囲寸法であって胸囲は採寸対象箇所にすぎない。そうなると前述の体型の場合、着装時のスタイルを見ると下半身は形良く収まっていても胸元は不足気味になり衿の交差位置が下方になる。この現象は、胸囲の計測値が反映されないために胸幅が不足する事を示しており、融通性を特徴とする和服であり着裝不可能でないにしても、見た目或いは着心地を考慮すると改善の余地があると思われる。 そこで今回は、被験者として前述の服飾造形学科3年次の学生に協力を得て、胸幅に直接影響を及ぼすことが想定される「衽つけ線」を4種設定して試着衣を作製し実験を試みた。 結果として、多少の起伏はあっても、衿の交差位置は衽つけ線の移動により胸幅が広くなり上がっていく傾向にある。また、和服を着装する折りに、一般的に好ましいとされる着装ポイントの条件をほぼ満たしているのは、剣先位置を裾から真直ぐと設定したケースであることを把握した。
- 和洋女子大学の論文
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