和服における着崩れについての考察
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
和服着装時における着崩れについて究明したのが本研究である。和服は、洋服と異なり着付けることによって形づくるものである。和服を着た時でも、日常の立ち居ふるまいとまったく異なるわけではないので、当然動きに伴った変化が起きる。つまり着崩れが生じる。この着崩れの要因の一つとして、着物のサイズと体格・体型との不一致があると想定し探ることを目的とした。従来より平面構成学演習の授業において、身体の各部を採寸し割り出し法によって算出した寸法を用いて縫製した試着衣と、一年次にほぼ標準寸法で縫製したゆかたを着装して比較実験を行ってきた。今回は、着装後に階段の昇降といった一定の動作を加えて、着装直後と動作後に撮影した写真による観察と、被験者自身の着心地といった感覚面から着崩れの状態を把握することを試みた。被験者をJIS規格を参考にして、S、MおよびL・LLサイズの3グループに分けて、被験者である学生自身の報告を参考にしながら比較検討した。結果として、S・Mサイズについては、ゆかた、試着衣いずれも問題とするほどの目立った着崩れは認められない。その若干の変化は、階段の昇降といった下半身の動きによって生じた現象であるにもかかわらず、裾の部分が広がることだけでなく上半身の衿の交差の形状にも見られる。違いが顕著に現れたのはLLサイズである。標準寸法のゆかたは、着装条件そのものを満たすことも困難であり着崩れを論ずる以前の問題となった。一方、試着衣については着装状態もほぼ満足できるとともに、着崩れについてもS・Mサイズと同程度になった。今回の着装実験によって、LLサイズといった極端な例ではあるが、予測通り、着崩れは体格・体型といった身体に合わせたものがより少ない事を確認した。
- 2003-03-31
著者
関連論文
- 和服における着崩れについての考察(第2報)
- 和服における着崩れについての考察
- 和服における着崩れについての考察(第4報)
- 和服構成における着装容姿についての考察
- 平面構成学分野における着崩れの定量化法の検討
- 和服における着崩れについての考察 : 第3報
- 和服における衿つけの学習指導についての考察(第2報)
- 体型を考慮した和服の縫製方法(第5報)
- 和服における衿つけの学習指導についての考察
- 体型を考慮した和服の縫製方法(第4報)
- 和服構成における標準寸法について
- 体型を考慮した和服の縫製方法-3-
- 明治時代の家庭科教育で取り扱われた裁縫科の学習内容 : 初等教育
- 家庭科教育における裁縫学習の変遷--教育政策の推移
- 体型を考慮した和服の縫製方法(第 2 報)
- 蒸暑条件下における被服形態の相違が被服気候に与える影響
- 体型を考慮した和服の縫製方法(第 1 報)
- 和服構成における割り出し法の妥当性について(第 4 報)
- 和服構成における割り出し法の妥当性について(第 3 報)
- 和服構成における割り出し法の妥当性について(第 2 報)
- 和服構成における割り出し法の妥当性について
- 襟肩明きの明け方による縫製方法の比較
- 和服構成における体型と縫製との関係(第 7 報) : 繰り越し量について
- 和服構成における体型と縫製との関係(第 6 報) : 繰り越し量について
- 和服構成における体型と縫製との関係(第 5 報) : 曲線裁ち衿肩明きについて
- 和服構成における体型と縫製との関係 : 衿肩明き寸法について
- 審査論文 和服の着崩れにおける素材の影響とそのメカニズムについて
- 大学での和裁教育
- 和服構成における着装容姿についての考察