冷水病に強い人工産アユ種苗の開発
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
アユの冷水病は、Flavobacterium psychrophilumを原因とする細菌性感染症であり(井上,2000)、1987年に徳島県で養殖場での発病(アユ冷水病対策協議会,2008)が確認されて以来、現在では全国に蔓延し、アユ養殖業に大きな被害をもたらしている。その対策として、岐阜県では、人工産種苗の利用及び防疫体制の整備を推奨し、その効果により近年の岐阜県のアユ養殖生産量は増加(岐阜県農政部水産課,2011)に転じている。しかし、このような養殖体制は、ひとたび冷水病が発生すると甚大な被害になりやすいという特徴がある。近年は、飼料費や電気代など養殖生産に関わる費用が上昇する一方で、魚価が低迷しており、魚病の発生による被害や治療費を販売価格に転嫁することが困難な経営環境にある。安定的な養殖経営を図るためには、病気の発生予防だけではなく、病気発生時の被害軽減対策が必要であり、その対策の1つとして、冷水病に対する耐病性の高い種苗の開発が求められている。また、安全・安心な生産物を求める消費者に対して効果的に養殖アユをPRするためにも、冷水病耐病性種苗を利用することで治療薬を使用しない養殖アユ生産体制の構築が求められている。アユの冷水病耐病性には系統差があることや耐病性が次世代に遺伝することが明らかになっている(Nagai et al。2004;永井・坂本,2006;永井,2009;三浦ほか,2011;鈴木ほか,2005;水戸ほか,2007;熊川ほか,2009;原田ほか,2006;)。そこで本県では、2005年より冷水病耐病性の高い種苗の開発に着手し(桑田,2008;桑田,2009;桑田ほか,2010)、毎世代、非選抜系統も含めて実験感染による冷水病の耐病性評価を行っている。その結果、耐病性選抜系統において冷水病に対する高い耐病性を確認したので報告する。
- 岐阜県河川環境研究所の論文
- 2012-03-00
著者
関連論文
- 冷水病に強く、良く釣れる人工産アユ種苗の開発と利用--冷水病耐病性、釣獲特性、遺伝的特性の系統間差
- アユ Plecoglossus altivelis altivelis の生殖腺の性分化過程
- リアルタイムPCRを用いた実験感染アユにおける Flavobacterium psychrophilum の排菌量の推定
- リアルタイムPCRを用いたアユ冷水病魚におけるFlavobacterium psychrophilumの定量性の検討(短報)
- リアルタイム PCR を用いた実験感染アユにおける Flavobacterium psychrophilum の排菌量の推定
- 釣りによるブルーギル個体群の抑制
- 長良川におけるアマゴ在来個体群の分布状況
- アユの河川内での冷水病感受性および放流効果の系統差
- 河川における冷水病菌の動態--冷水病菌を保菌していないアユ種苗の放流事例
- 下呂支所敷地内の水路における魚類相
- 馬瀬川におけるアユ漁不振漁場の環境要因
- 成魚放流されたアマゴにおけるスモルトとパーの残留性の違い
- 冷水病菌を保菌していない小型アユ種苗の放流効果
- 琵琶湖産系人工産アユの特性研究--大洞川におけるアユの標識放流試験
- アユ放流用優良種苗の検索および放流技術開発研究--馬瀬川におけるアユの標識放流試験(3)
- アユ放流用優良種苗の検索および放流技術開発研究--馬瀬川におけるアユの標識放流試験(2)
- アユ放流用優良種苗の検索および放流技術開発研究--馬瀬川におけるアユの標識放流試験(1)
- メチルテストステロン投与がアユの雌から雄への性転換に与える影響--生殖線の組織学的観察
- 冷水病罹病アユの脾臓重量の増加
- サケ科魚類の産卵床からのホースポンプによる発眼卵採集方法
- 長良川の支流におけるサツキマスの産卵床の特性
- 釣獲実態,放流経費および遊漁者の意識からみたヤマメ・アマゴの成魚放流の有効性
- 染色体操作による有用魚類の品質改善研究-6-温水循環式温度処理による3倍体アマゴの量産について
- アマゴの成魚放流における放流日およびスモルト・パーの違いが釣獲効率に与える影響
- 根尾川におけるオヤニラミの生息調査
- アユの効率的な媒精技術の開発--受精液の使用による発生成績の改善
- アマゴの育種に関する研究(9)早熟雄とスモルト雄が次世代の相分化に与える影響について
- 長良川の支流におけるサツキマスの産卵床の特性
- 釣獲実態, 放流経費および遊漁者の意識からみたヤマメ・アマゴの成魚放流の有効性
- アマゴの成魚放流における放流日およびスモルト・パーの違いが釣獲効率に与える影響
- 岐阜県河川環境研究所におけるアユの細菌性冷水病に対する対策研究について
- 冷水病に強い人工産アユ種苗の開発 : 選抜履歴が異なる4種類の系統の冷水病耐病性の違い
- 水路での木製構造物の設置による物理環境の改善と魚類に対する効果
- メチルテストステロン投与がアユの雌から雄への性転換に与える影響
- 冷水病に強く、良く釣れる人工産アユ種苗の開発と利用--冷水病耐病性、釣獲特性、遺伝的特性の系統間差
- 下呂支所敷地内の水路における魚類相
- 冷水病に強い人工産アユ種苗の開発