飼育下チンパンジーの石器使用技術獲得に関する検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
チンパンジーは霊長類の中でも道具を使用する数少ない動物である。その道具使用獲得のメカニズムの検討は人の道具使用獲得過程を考えるうえでも重要である。これまでにも,チンパンジーの道具使用技術獲得のプロセスについては,野生下での観察,実験及び飼育下の実験で報告されている1-3,5,7,10-12)。本研究では,飼育下非実験場面である動物園(多摩動物公園)での観察データをもとにナッツ割り技術獲得に関する定量化を試みた。また,生育歴,血縁関係などをもとに,ナッツ割り技術獲得に必要な要件を検討した。その結果,興味を持つ個体は3歳頃から試行錯誤をはじめ,1年以内に効率よく割れるようになっていた。技術獲得まもない個体は経験豊富な個体に比べ,ナッツ割りの所要時間にバラつきがみられ,ナッツ割りにかかる時聞は10歳をすぎると安定した。臨界期に関しては,一般飼育の個体では8歳,また動物園のショーに出ていた個体の場合,子どもに比べると時聞はかかるが,20歳をすぎてからでも技術獲得が可能であった。
- 2010-12-00
著者
関連論文
- P2-01 チンパンジーの道具使用開始時期の個人差の検討 : 経験か利き手か(日本動物心理学会第68回大会発表要旨)
- チンパンジーの子育てスタイルの継承 : 多摩動物公園の母と娘の子育てに関する事例研究
- チンパンジー母子間の身体的距離と18ケ月令の探索活動 : 多摩動物公園の事例から
- 32. 鳥類由来Pasteurella multocidaの鶏胚線維芽細胞への侵入性(第19回 日本獣医畜産大学学術交流会(動物医療センター竣工記念))
- PF003 飼育下チンパンジーの探索活動と観察学習による道具使用の発達
- OD-10 多摩動物公園チンパンジーの道具使用における母親の養育態度の影響(日本動物心理学会第66回大会発表要旨)
- P-53 多摩動物公園のチンパンジー乳児の探索活動レベルと母親の養育態度および社会的適応度(日本動物心理学会第65回大会発表要旨)
- IP017 チンパンジーの子どもの連れ戻し行動 : 発達に伴う母親の行動変化
- P-1-10 チンパンジーの道具使用における母子相互作用の変化 : 多摩動物公園の事例検討
- 飼育下チンパンジーの子育て困難 : 人工哺育は回避可能か
- EstradiolのメダカOryzias latipesへの影響 : 環境ホルモンスクリーニングの一モデル
- Furan投与ラット肝臓の胆管線維症に伴った腸上皮細胞および管腔形成肝細胞の出現について
- 飼育下チンパンジーの石器使用技術獲得に関する検討
- メダカOryzias latipesにおけるビテロジェニンの免疫組織化学 : 内分泌撹乱物質の予備研究
- アセチルアミノフルオレン投与によるラット再生肝におけるLiver Stem Cell Compartmentの増殖,分化について
- 12. メダカ組織のテロメア長の測定(第19回 日本獣医畜産大学学術交流会(動物医療センター竣工記念))
- ビスフェノールAのメダカ(0ryzias latipes)への影響の病理組織学的検討
- メダカOryzias latipesの雌の配偶者選択 : 雄の体サイズ・体重に対する好み
- Bisphenol A, Dibutyl PhthalateのメダカOryzias latipesへの影響
- エチルパラベン(Ethyl p-Hydroxybenzoate)のメダカOryzias latipesへの影響
- 飼育下チンパンジーの石器使用技術獲得に関する検討