<原著>チンパンジー母子間の身体的距離と18ケ月令の探索活動 : 多摩動物公園の事例から
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概要
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チンパンジーにおける認知能力の個体差を検討するうえで,母親の子育てスタイルの比較を行った。多摩動物公園の二組の親子における1ケ月令,3ケ月令,10ケ月令における身体的距離と,18ケ月令における他個体や遊具への働きかけなどの探索活動および身体的距離の調整の様子を分析。生後間もなくの時期,母子が密着している時間の長かった個体は10ケ月令でも母子で過ごすことが多く,18ケ月令の活動範囲は限定されていた。一方初期から親が子どもを自分の体から離す様子が観察されている母子では,10ケ月令をすぎると子どもが積極的に遊具で遊ぶ,周囲のチンパンジーに働きかけるなどの探索活動が見られた。 18ケ月令では親との距離をお互いに調整しながら過ごしていた。二組の母親が先に生んでいるメスのチンパンジーにも同様の差は観察されている。個体差を考える上で生得的な要因を忘れてはならないが,先の2事例のように,母親の子育てのスタイルも個体差に影響を与えていると思われる。
- 2003-12-01
著者
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