ナツシロギク抽出物およびパルテノリドのマウスにおける免疫調節効果
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概要
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天然ハーブであるナツシロギクに含まれるParthenolideはフラボノイドの一種であり,NF-KBを抑制することから,アレルギー疾患や炎症性疾患への効果が期待されている。しかし,in vivoにおける免疫能調節効果については十分明らかになっていない。そこで,Parthenolideおよびナツシロギク抽出物をC57BL/6J雌マウスおよびDSS腸炎誘導モデルに経口投与し,大腸における種々のサイトカインの遺伝子発現および病理組織解析を行った。パルテノリド投与により,炎症性サイトカインの遺伝子発現は抑制傾向がみられ,2型サイトカインであるIL-13は有志に増大した。ナツシロギク抽出物投与では1FNγの発現が抑制された。腸炎誘導モデルでは,パルテノリド投与によりINFγは抑制傾向を示し,組織観察により大腸粘膜の炎症に軽減傾向が認められたが,IL-6が上昇し,コントロール群と比較して致死率が高まった。ナツシロギク抽出物投与でもIL-6の増加傾向はみられたが,IFNγおよびCCR9が有立に減少し,組織観察によっても炎症性細胞の遊走が抑制傾向にあることが確認された。Parthenolideは1L-13を増強することから,間接的に1型免疫応答を抑制する可能性はある。しかし,炎症を悪化させるIL-6の遺伝子発現を増強させたため,すでに重篤な炎症を起こしている症例では,投与は慎重であるべきと考えられ,さらなる作用機序の解明が必要である。一方,ナツシロギク抽出物は、大腸炎を大きく改善するには至らないものの,パルテノリドのような障害は認められず,日常的な摂取によってサイトカインバランスを調節し,炎症ーの予防に効果を示す可能性が示唆された。
- 2011-03-00
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