エダマメの早期直播栽培技術の確立
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概要
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水稲生産農家がエダマメを導入して収益性を向上させるためには,直播栽培によって月中旬~8月下旬までの継続的な出荷体系の構築が必要である.しかし新潟県における現行の作型は,播種が5月中旬以降で,収穫が8月中旬以降である.そこで,7月中旬~8月上旬までの出荷が可能な早期直播栽培による省力的安定生産技術の確立と直播栽培のみによる8月下旬までの継続的な収穫が可能な作型の提示を目的として以下の試験を実施した.2006~2008年に滝姫(早生種),湯あがり娘(中早生種),新潟茶豆(中生種),庄内茶豆5号(中晩生種)を用いて,慣行の播種期よりも早い時期から直播による作期試験を行い,継続的な収穫のための播種期を検討した.2008年と2009年には早期直播栽培の省力的安定生産技術の確立のために,透明ポリマルチ,黒色ポリマルチおよびべたがけ資材による被覆を比較した.そして選定した黒色ポリマルチを使って早期直播栽培の省力的安定生産技術について実証試験を行った. 1. 中晩生よりも早い滝姫,湯あがり娘および新潟茶豆を用いることで,直播栽培で7月中旬から8月上旬までの収穫が可能であった. 2. 滝姫と湯あがり娘の早期直播栽培において,透明ポリマルチ直播および黒色ポリマルチ直播栽培の出芽率はべたがけ直播栽培や無マルチ直播栽培よりも高かった.これはポリマルチ被覆による地温上昇効果以上に表層土壌の保水効果による影響が大きいと考えられた.3. 透明ポリマルチ直播および黒色ポリマルチ直播栽培の生育量,莢収量と商品収量は,べたがけ直播栽培や無マルチ直播栽培および黒色ポリマルチ移植栽培よりも高い値を示した.4. 莢収量や商品収量にポリマルチの種類による大きな差が認められなかったことから,地温上昇効果による生育促進という点で透明ポリマルチ被覆が優れていたが,過繁茂, 倒伏,雑草繁茂等を招くため,黒色ポリマルチ被覆が最も適していると判断された.5. 耕うん同時畝立てマルチ展張播種作業機を用いて早期直播栽培技術の有効性について場内試験と現地実証試験で評価を行い,黒色ポリマルチ直播栽培が無マルチ直播栽培を大きく上回る生育と収量を示すことが実証された.6. 滝姫,湯あがり娘,新潟茶立の黒色ポリマルチ被覆による早期直播栽培技術と無マルチ直播栽培による新潟茶豆と庄内茶豆5号の直播栽培のみで7月中旬~8月下旬まで継続的な出荷が可能で省力的な栽培体系を提示した.
- 2011-03-00
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