北陸重粘土転換畑での早期エダマメ直播栽培における地温と出芽に及ぼすマルチ・べたがけの効果
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概要
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本研究では,北陸地域の重粘土転換畑において,従来よりも直播エダマメの播種時期を前進化する方策として,ポリマルチ被覆・不織布べたがけの有効性を明らかにしようとした.2005年から2008年までの4年間,4月下旬播種を中心とした計6作期において,重粘土転換畑でポリマルチ被覆および不織布によるべたがけをしてエダマメを直播栽培する試験を行い,畝内の温度・水分環境,出芽状況を調査し,以下の結果を得た. (1)播種後10日間の平均的な地温効果(地温を上昇させる効果)は,被覆資材の種類により大きく異なり,透明ポリマルチ(穴あき)では4~5℃,不織布のべたがけでは2℃前後,黒色ポリマルチでは,穴の大きさや量など条件の違いにより0℃~2℃程度であった. (2)ポリマルチ被覆の上に不織布のべたがけをした場合は,それぞれの資材の地温効果の根加的な効果があると考えられた. (3)ポリマルチ被覆により,無被覆や不織布のべたがけと比較して畝内土壌水分の乾燥が抑制されることが示された. (4)各種ポリマルチ被覆と不織布のべたがけによる出芽促進は,有効積算地温と関連づけられた.品種,「湯あがり娘」について,出芽に要する有効積算地温は96.2℃・日(基準温度:7.3℃)であった. (5)本研究での6作期のうち,無被覆の区では2作期,不織布のべたがけをした区では1作期において,出芽率の低下や出芽遅延(地温から推定される出芽日からの遅れ)が見られたのに対して,ポリマルチ被覆では,全ての作期で良好な出芽・苗立ちがみられた. 以上の結果,重粘土転換畑においてもポリマルチ被覆が,畝内土壌の乾燥抑制などを通じて低温期の直播エダマメの出芽・苗立ちを安定化させると考えられた.
- 農業技術研究機構中央農業総合研究センターの論文
- 2010-01-00
著者
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