胎齢中期牛胎子におけるアカバネウイルス感染初期のウイルス抗原分布と病変形成
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概要
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胎齢中期牛胎子におけるアカバネウイルス(AKAV)感染初期のウイルス抗原分布と病変を解明するために感染実験を実施した。妊娠150日目の黒毛和種牛2頭の左上膁部を切開し、胎子の大腿部に子宮壁を通して外科的にAKAV(OBE-1株)を接種し、接種後7日目の胎子臓器をウイルス学的、病理組織学的および免疫組織化学的に検索した。いずれの胎子でも小脳、延髄、頸髄および心臓からAKAVが分離された。脳幹部を主体に囲管性細胞浸潤やグリア結節が認められ、肝臓、心臓および接種部大腿筋の血管周囲にリンパ球、マクロファージの浸潤がみられたが、いずれの胎子にも筋炎は認められなかった。AKAV抗原は、脳幹部の神経細胞、神経軸索、神経線維のほか、グリア細胞や血管周囲の浸潤マクロファージに検出された。脊髄には病変形成はみられなかったが、腹角神経細胞や神経軸索に抗原が検出された。以上の結果から、胎齢中期牛胎子ではAKAV感染初期に脳幹部を主体として非化膿性炎が起こっていたことから、ウイルスの増殖と体内伝播は筋組織よりも脳幹部の神経細胞や神経線維を主体に起こることが示された。
- 2010-01-00
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