ポストハーベストエ学から食料・環境・エネルギーをみる(2)
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概要
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わが国でのポストハーベスト技術を語る上で、当然、主食である米に関する技術展開実績が大きく、先ずは米のポストハーベスト技術について述べるべきだろう。前号で紹介したように、我々の研究室が1966年に開設された理由は、米を含む主要農産物の収穫後損失防止と品質改善を目指した技術開発・導入が期待されたことによる。しかし、第2次大戦直後の食糧難を経験し、農政全体としては量的確保に重点が置かれ、政府管掌による選択性の乏しい流通であったことは言うまでもないだろう。筆者が岩手大学農学部に奉職して間もない80年代初頭に薫陶を受けた故浅見修氏(旧食糧庁OB)が、「今の米は日本人のための『餌』状態であり、『食品』ではない」と述べられていた通りである。すなわち、政府によって与えられた米を国民が味や好みで選ぶことはできず、給餌された餌をただ食べるだけの家畜と何ら変わらないと揶揄されたのであった。北海道では、1960年代から耐寒性品種の開発・導入や栽培技術の改善により、稲作は北上し、生産量も大きく増大した。それと呼応して全国動向と同様に稲収穫以後の機械(熱風乾燥機や籾摺り機)、そして穀類共同乾燥調製施設・ライスセンター(RC)や穀類共同乾燥調製貯蔵施設・カントリーエレベータ(CE)等の施設が導入されるようになり、それらの合理的な利用方法、また北海道固有条件への応用性改善などが求められた。本号と次号では、既に周知されている北海道での動向は軽く触れるに留め、それからはみ出したポストハーベスト技術、全国的・国際的視点からのそれと今後の展望等について述べてみようと思う。
- 2009-04-00
著者
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