アニマルウェルフェアから見たブタの行動と快適な飼育環境
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概要
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アニマルウェルフェアとは、西欧に始まった動物の扱いについての倫理的概念であり、人と関わる動物の苦痛や快といった情動への配慮の必要性を謳った考え方である。情動の保障といった観点から、わが国では動物の快適性に対する配慮といった見方で取り入れられている。それを満たす条件として、1992年に英国家畜福祉審議会により、『5 freedom(5つの自由)』が提案された。これらは「1.飢えと乾きからの自由」「2.物理的及び熱による不快からの自由」「3.苦痛、傷害、病気からの自由」「4.正常行動発現の自由」「5.恐怖や苦悩からの自由」の5つからなる基準である。しかし、内容は必ずしも難しいことを求めているのではない。具体的にブタの飼育管理に当てはめて考えてみると、「飢えと乾きからの自由」というのは、全てのブタが十分にエサや水を摂取できるようにすることであり、「物理的及び熱による不快からの自由」とは、寒かったり、暑すぎたりしないようにすること、「苦痛、傷害、病気からの自由」というのは、けがや病気をしないように健康管理をきちんとするということだけである。また、「恐怖や苦悩からの自由」とは、パニックや怪我を誘発するような乱暴な取り扱いに注意するなどといった、主に管理者の取り扱い方法に関するものであり、これらは、生産性に直結する部分であるため、理解しやすいのではないかと思う。しかし、アニマルウェルフェアの保障を考える上では、残り一つの項目である「正常行動の発現の自由」についても満たしていく必要が指摘されているのである。
- 2009-09-00
著者
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