稲発酵粗飼料を利用した交雑種去勢牛肥育
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
飼料稲専用品種「クサホナミ」を黄熟期に稲発酵粗飼料専用収穫機を用いて尿素液を添加して収穫調製した稲発酵粗飼料(以下、イネWCS)を、交雑種去勢牛の粗飼料として給与した。試験区分は、肥育の前期にチモシー乾草・中期と後期に稲わらを給与する対照区、前期と後期にイネWCSを給与し中期にはビタミンA制御のため稲わらを給与する前後区、肥育全期間にイネWCSを給与する全期区とし、各区4頭を供試し、生後8.4ヵ月齢から25.8ヵ月齢まで肥育試験を実施した。供試したイネWCSの乳酸含量は尿素処理の影響を受けて低かったが、芳香があり嗜好性も高かった。飼料摂取量は、肥育中期に血液中ビタミンA濃度が20IU/dl程度まで大きく低下した前後区が低い傾向であったが、後期にイネWCS給与を再開してからは採食量が回復した。発育は、対照区と全期区では順調であったが、飼料摂取量が少なかった前後区では出荷時体重と日増体量が低かった。Mgを除く血液成分と第一胃内容液成分には、試験区間に有意な差がなかった。枝肉格付による肉質等級は、前後区(B4:3頭、B3:1頭)が良好で、次いで全期区(B4:2頭、B3:1頭、C2:1頭)、対照区(B3:1頭、B2:3頭)の順であった。イネWCS給与は肉色や脂肪色に影響しなかった。イネWCSを給与した2試験区のロースは、対照区に比べて柔らかかった。筋肉内脂肪の脂肪酸組成は、イネWCS給与によって不飽和脂肪酸が増える傾向が見られた。ロース肉中のビタミンE含量は、イネWCS給与区で増える傾向が見られ、牛肉の保水性を示すドリップも僅かに改善される傾向であった。ロース肉を冷蔵保存したときのミオグロビンのメト化率は全期区で低い傾向であり、TBARS値はイネWCS給与により抑制される傾向が見られ、イネWCS給与が筋肉中のビタミンE含量を高めて牛肉の保存性が改善されることが示唆された。
- 2008-11-00
著者
関連論文
- 肥育後期の丸粒トウモロコシ給与が黒毛和種去勢牛の産肉性に及ぼす影響
- 丸粒トウモロコシ給与が黒毛和種去勢牛の産肉性に及ぼす影響
- モミ殻給与が黒毛和種去勢牛の肥育前期における発育等に及ぼす影響
- 牛脂肪交雑基準(BMS)と筋肉内脂肪含量との関係(1996から2004年)
- 白色レグホン種鶏に対する初産期の絶食が産卵におよぼす影響
- 無処理モミ殻給与が交雑種去勢牛の産肉性に及ぼす影響
- バイオディーゼル燃料製造時の副生成物(粗製グリセリン)の添加が牛糞の堆肥化に及ぼす影響
- 製麺残さ給与が交雑種去勢牛の産肉性に及ぼす影響
- NDFと脂肪含有量に富む食品製造副産物の給与が泌乳前期の乳生産に及ぼす影響
- 農場有機性残さと家畜ふんの混合堆肥化と肥料利用(4)牛ふん堆肥とラッカセイ茎葉残さの混合堆肥化におけるフスマ、石灰窒素の添加が堆肥化発酵およびラッカセイ茎葉残さ中のフザリウムの殺菌効果に及ぼす影響
- 泌乳牛への米ソフトグレインサイレージ給与の影響
- 稲発酵粗飼料を利用した交雑種去勢牛肥育
- 土壌関連 家畜ふんと農場茎葉残さの混合堆肥化による残さ中植物病原菌の殺菌処理
- 食品製造副産物を主体とする発酵飼料を用いた黒毛和種去勢牛の低コスト肥育
- 農場有機性残さと家畜ふんの混合堆肥化と肥料利用(3)牛ふん堆肥とトマト茎葉残さの混合堆肥化処理による茎葉残さ中のトマト萎凋病菌の殺菌効果および肥料としての循環利用
- 家畜ふん炭化物の脱臭性能、畜産汚水脱色性能、および、生ふんの通気性改善効果
- 農場有機性残さと家畜ふんの混合堆肥化と肥料利用(2)牛ふん堆肥とラッカセイ茎葉残さの混合堆肥化および肥料利用についての検討
- 農場有機性残さと家畜ふんの混合堆肥化と肥料利用(1)鶏ふんとトマト茎葉残さの混合堆肥化および肥料利用についての検討
- 牛ふん炭化物の牛舎敷料利用と堆肥化
- コ-ンの加工の差異が発酵速度,泌乳成績,反すう胃液および血液性状,消化率におよぼす影響
- 夏季における中鎖脂肪酸Ca塩およびナイアシンの添加が乳生産におよぼす効果について
- 食品製造副産物を主体とする発酵TMRによる黒毛和種去勢牛の低コスト肥育
- 牛脂肪交雑基準(BMS)と筋肉内脂肪含量との関係(1996から2004年)
- 肥育後期における生米ぬか及び脂肪酸カルシウムの給与が黒毛和種去勢牛の肉質に及ぼす影響(短報)
- 食品製造副産物を主体とする発酵飼料を用いた黒毛和種去勢牛の低コスト肥育(2)
- 泌乳牛への米ソフトグレインサイレージ給与の影響
- 稲発酵粗飼料を利用した交雑種去勢牛肥育