都市部における非農業者主体の「農」の活動の展開―愛知県長久手市、日進市の事例から―
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概要
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市民農園を中心に都市農業への注目が高まり、2009 年の農地法の改正により農地の「所有から利用へ」と大きく舵が切られる中で、その展開の可能性について、次の3つの視点から分析を試みた。 第1 に、都市部での「農」の活動の多様な展開を探るために、非農業者主体で共同耕作を行う「農」の活動に注目した。 第2 に、これまでの研究の多くは、遊休農地の利活用や都市農業の多面的機能という政策的課題に対応したものであり、都市農業に関与する人の数、農業従事者、耕作面積、生産・販売量など、「農業」としての生産性の基準で評価することが多かった。これに対して、いわゆる「農業」として農産物の販売による収入を目指す活動だけでなく、交流事業や地域活動への展開などの、「農」の活動の諸相に注目した。 第3 に、農地の所有と管理、事業収入の獲得、行政との関係、活動の組織作りなど、「農」の活動の存続条件と展開可能性を明らかにした。これまで都市部における「農」の活動が、社会学分野で注目されることは少なかったわけだが、これらの点に関する分析においてはその強みを生かすことができるのではないかと考えられる。 本稿では、以上の3つの視点をもとに、愛知県長久手市、日進市における3つの団体の分析を行った。ここから、行政の関与のあり方、組織戦略の特色を検討しつつ、交流事業や地域活動への展開という点に、都市部における非農業者主体の「農」の活動の可能性を見いだすことができた。
- 2013-03-31
著者
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