都市農業における生業と実践とを結び直すサスティナブル・リンク―東京都日野市の地域社会と農業用水路のかかわりから
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概要
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都市農業の持続性を問うとは、どういうことなのか。本稿は、東京都日野市における地域社会と農業用水路のかかわりを対象事例とする。農業用水路の今後の維持管理のあり方が、都市農業が抱えている構造的課題と、都市農業に関して多様に繰り広げられている実践の可能性との間で今まさに揺れ動いている実態を明らかにした。その上で、いかにして都市農業は持続可能となるのか、生業としての都市農業と、都市農業にかかわる実践とを結びつけるかかわりという観点から論じた。都市農業をめぐる諸実践がもつ意味合いやその展開可能性を検証するために、構造的課題と実践の乖離、実践同士の交錯という二重の「分断」と、そこからの「(再)連結」のあり方を明らかにしていく。都市農業存続の回路を、(1)アクターの再編(2)実践の積み重ね(3)都市農業の外延を拡げる、という3点に見出し、必ずしも「生業」という核を形成するような都市農業ではないが、それぞれの実践が周辺において連関し合い、寄り添い、支え合うような都市における「農」が構築されようとしている過程を抽出した。「都市農業の持続性」とは、それ自体総体として捉え直され、再定義されていくとともに、都市農業をめぐる1つ1つの実践の中に見出され、リンクを形成していく可能性を指すものと考えることができる。その相互変化について「食農連携」の共同研究に位置づけるとともに、どのようにしてその持続性を担保しうるのかについて実証的に論じた。
- 2013-03-31
著者
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