「身近な自然」をめぐる地域活動の可能性 : 都市近郊林から発せられる「問いの共有」(資料調査報告)
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概要
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本稿は,「身近な自然」をめぐる市民団体が,その活動の意義を,試行錯誤を繰り返しながら強めていく可能性について考察する。「身近な自然」をめぐる活動とは,たんに特定の理念や目的をもって周囲に働きかけるのではなく,活動を展開することによって抱く戸惑いや葛藤を周囲に波及させていこうとするプロセスであることを明らかにする。対象である札幌市西野地区の森林は,住宅地のすぐ裏側という身近に存在しながらも,通常は顧みられないような自然環境である。そこで始められた,有志の市民活動団体による体験型環境教育の参与観察から,一見活動を拡げ,周囲から社会的な認知を得ていくプロセスにあるように思われる活動団体が,揺れ動いている実態を2つの契機から明らかにする。それは第1に,森林の散策路整備の「協働」に対する戸惑い,第2に,活動展開するうちに生じる活動内外からの違和感である。そのなかで,「身近な自然」を通じた人人の働きかけが投げかけているのは,身近な自然との付合い方に関する,ある答えを共有しようとするものではなく,問いを共有しようとするものである。戸惑いや葛藤に動揺しつつもその動揺を,「問いの共有」というかたちで周囲に伝えていこうとすることが,有志の活動のもつ意味合いをより深めていく。
- 環境社会学会の論文
- 2005-10-25
著者
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