IBMXおよびdbcAMPで処置したブタ卵母細胞における核の成熟、ステロイド代謝および脂質小滴の数

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我々は、ブタ卵母細胞において、核の成熟に伴って細胞質ではいくつかのステロイドの代謝低下と脂質小滴の小型化が起こることを以前報告した。また、核の成熟をオロモウシンで処置して阻止した卵母細胞では、ステロイド代謝の低下および脂質小滴の小型化はみられなかったことから、細胞質でのこれらの変化は核の成熟と密接に関係していることを推察して報告した。しかし、オロモウシンがステロイド代謝の低下および脂質小滴の小型化に直接関係しているのか否かは明らかにできなかった。そこで、オロモウシンとは異なった機構、すなわち細胞質のcAMPレベルを高く維持することによって核の成熟を抑制する作用のあるIBMXとdbcAMPを用いて、ブタの卵母細胞を処置し、ステロイド代謝と脂質小滴の数を組織化学的に観察した。IBMXあるいはdbcAMPで22時間処置した卵母細胞において、核は97および100％で卵核胞期にあり、これらの処置により成熟分裂の再開が抑制されていることが確認された。一方、IBMXあるいはdbcAMPで22時間処置した卵母細胞において、Δ（5）－3β－HSD活性（基質としてpregnenoloneと17α－hydroxypregnenoloneを使用）、17β－HSD活性（estradiol-17β）、20α－HSD活性（20α－hydroxyprogesterone）および20β－HSD活性（17β－hydroxyprogesterone）を有するものの割合、ならびに各種大きさの脂質小滴の数は、どちらも対照の卵母細胞におけるそれらと相違なかった。以上の結果から、細胞質におけるステロイド代謝の低下および脂質小滴の小型化は、核の成熟の進行よりも、細胞質のcAMPの量に依存して起こることが推察された。
新潟大学農学部の論文
2008-09-00

IBMXおよびdbcAMPで処置したブタ卵母細胞における核の成熟、ステロイド代謝および脂質小滴の数

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