意識消失の反復を契機に発見された汎下垂体機能低下症の1例
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概要
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症例は70歳代,男性.2年前より頭痛が出現し,1年前に意識消失で近医に入院した.低Na 血症を指摘されたが,原因は確定せず経過観察となった.その後,短時間の意識消失発作が3回出現し,徐々に活動性は低下した.数日前から感冒症状があり,意識消失しているところを発見され,当院に搬送された.発熱,炎症所見と低Na 血症(126mEq/l)があり,解熱後も低Na 血症と活動性低下が遷延した.内分泌検査では,血漿ACTH3.8pg/ml,Cortisol 2.7μg/dl と続発性副腎不全が示唆された.視床下部ホルモン4者負荷試験ではGH・PRL・TSH・LH・FSH とも程度の差はあるが基礎値低値・低反応で,汎下垂体機能低下症と考えられたが,ACTH の分泌反応は保たれており(頂値>100pg/ml),視床下部障害の混在が示唆された.頭部MRI では下垂体~茎部の軽度腫大と弱いGd 増強が認められ,急性期を過ぎたリンパ球性下垂体炎などの可能性が考えられた.副腎不全では低血糖や低Na血症による意識障害をきたすが,本例のように体液異常だけでは説明できない意識消失発作を反復することは稀である.
- 2011-03-25
著者
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