中間育成池の適正流入量推定のための数値モデル
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概要
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砂浜海岸に波のエネルギーを利用し、海水交換を行うヒラメの中間育成池(1200m2×1m)が造成された。育成池内の水質を適正に保つためには、どれだけの海水流入量が必要であるかを見積もるために、水質予測数値モデルを作成した。このモデルは、運動方程式、連続方程式、拡散方程式(水温、塩分、溶存酸素)から構成されている。水温の拡散方程式には、時間依存する水面からの熱フラックスの項を付加している。溶存酸素の方程式では、浮遊物、堆積物そしてヒラメによる酸素消費の項を付加している。ただし酸素生産に関する項は無視している。このモデルではさらに池の水質に影響を与える海岸地下水の効果も計算可能である。水面からの熱フラックスはバルク公式で計算した。浮遊物による酸素消費は明暗瓶法により実測した。堆積物による酸素消費速度も同様な手法で測定した。ヒラメの呼吸による酸素消費は体重と呼吸量の関係方式から計算した。そして海岸地下水の水質は現地測定し、池内に湧水するその水量は揚水試験結果から推定した。このモデルを適用して、池のどの部分においても溶存酸素濃度が3.0ml/l以下にならないようにするためには、227m3/hrの海水流入量が必要であり、3.5ml/l以上にするためには、313m3/hrの流入量が必要であることを明らかにした。このように水質変化の観点から流入量決定における有効な手法を提案した。
- 日本水産工学会の論文
- 1993-12-00
日本水産工学会 | 論文
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